症状固定後に死亡した場合の損害賠償請求はどうなりますか?

Q

息子(25歳)は、事故で両耳の聴力が非常に低くなり、7級の後遺障害と認定されました。ところが、その後、海水浴中に波にのまれて死亡してしまいました。

加害者側は、事故による後遺障害の損害について、死亡したときまでの分しか払えないといっています。

67歳までの損害を請求することはできないのでしょうか。

A

原則として67歳までの損害を請求できます。

◎ 最高裁平成8年4月25日判決

最高裁平成8年4月25日判決は、「労働能力の一部喪失による損害は、交通事故の時に一定の内容のものとして発生している」のであり、「交通事故の被害者が事故後にたまたま別の原因で死亡したことにより、賠償義務を負担する者がその義務の全部又は一部を免れ、他方被害者ないしその遺族が事故により生じた損害の填補を受けることができなくなるというのでは、衡平の理念に反することになる」ので、「交通事故の時点で、その死亡の原因となる具体的事由が存在し、近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り、右死亡の事実は就労可能期間の認定上考慮すべきものではない」としました。

◎ 最高裁平成8年5月31日判決

さらに、最高裁平成8年5月31日判決は、同種の事案について、上記最高裁平成8年4月25日判決を引用し、「右のように解すべきことは、被害者の死亡が病気、事故、自殺、天災等のいかなる事由に基づくものか、死亡につき不法行為等に基づく責任を負担すべき第三者が存在するかどうか、交通事故と死亡との間に相当因果関係ないし条件関係が存在するかどうかといった事情によって異なるものではない」とし、死亡後の生活費の控除の要否についても、「交通事故と死亡との間に相当因果関係があって死亡による損害の賠償をも請求できる場合に限り、死亡後の生活費を控除することができる」としました。

したがって、被害者が末期ガン患者などのように近い将来死亡するであろうことが客観的に明白な場合は別として、本件の場合は、67歳までの逸失利益を請求することができますし、死亡後の生活費を控除する必要もありません。

ただし、重度後遺障害者で将来的に介護が必要な被害者が死亡した場合には、死後の介護料は請求できません。これは、介護料は消極損害である逸失利益と異なり積極損害であって、死亡により現実の介護の必要がなくなり出費がなくなったからです(最高裁平成11年12月20日判決)。

 

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