外国人の休業損害は?

外国人の休業損害の算定はどのようにするのでしょうか。

外国人が日本国内に旅行に来たり、留学・研究のため、あるいは就労のためなどで入国し、さらにはいわゆる不法就労しながら日本に滞在している間に交通事故に遭うことがあります。

外国人の休業損害に関して問題となるのは、外国人の在留資格との関係で、外国人の日本国内における収入につき、継続性、安定性が認められるかという点です。

ただ、休業損害の場合には、休業期間が比較的短いのでそれほど深刻な問題とはなっていませんが、後遺障害による逸失利益や死亡逸失利益については、長い期間にわたるものであるため、深刻な問題となります。

一般に、外国人を在留資格に応じて、

①永住者としての在留資格を持っている外国人である場合

②就労可能な在留資格を持っている外国人である場合

③就労可能な在留資格を持っていない外国人で、現に日本で就労していなかった場合(例えば、観光、商用等の在留資格で日本滞在中に事故に遭った場合)

④就労可能な在留資格を持っていない外国人が、不法ではあるが実際に日本で就労していた場合(例えば、もともと就労資格がないのに就労していた場合や、就労資格はあったが在留期問経過後も就労していた場合)

⑤密入国者の場合

の5つに分類して検討します。

永住者としての在留資格を持っている外国人である場合

「日本人の配偶者等」などの永住者としての在留資格がある場合は、日本人とまったく同様に算定することになります。

就労可能な在留資格を持っている外国人である場合

特殊技能者等の就労可能な在留資格がある者の場合は、日本において得ていた収入額を基礎として、休業期間に応じて算定することになります。

ただし、在留期問の定めがあるので、算定の対象期間がこの期間を超えるときは、在留期間が更新される相当程度の可能性が立証されることを条件に、この更新後の期間も賠償の対象期問に含めて算定することになります。

就労可能な在留資格を持っていない外国人で、現に日本で就労していなかった場合

日本滞在中に事故に遭い、本国における休業損害が発生した場合、本国の収人を基礎として算定することになります。

就労可能な在留資格を持っていない外国人が、不法ではあるが実際に日本で就労していた場合

まず、就労資格はあったが在留期間経過後も就労していた場合について、①被害者の出国先で得られたであろう収人額若しくは被害者の出国先の賃金センサスの額を基準とする見解、②比較的短期間である1、2年間を日本で得ていた賃金額を基礎として算定し、その余の期間は①と同様に算定する見解、③日本における現実の収人を基礎として算定する見解、があります。

この点、東京地判平3・4・26は、就労可能な時間以上に就労していて事故に遭い負傷した中国人の就学生の休業損害について、日本における実収入を基礎に算定しています。

次に、被害者に在留資格はあるが就労資格はない場合についても、在留資格の逸脱は強行法規違反ではあるけれど、公序良俗違反とまではいえず、上記の不法在留者と比較しても違法性の程度は低いのですから不法在留者と同様に考えればよいでしょう。

この点、最判平9・1・28は、短期滞在の在留資格で来日し、在留期間経過後も不法就労していて機械の操作中に負傷したパキスタン人の休業損害について、日本における実収入を基礎に算定しています。

密入国者の場合

被害者が密入国者であるときは、密入国の違法性の程度は極めて高く、事実上日本国内で就労していたとしても、日本における収入額を基礎として休業損害の算定を行うことは相当ではないという見解があります。

これに対し、日本において収入が現実にあるのだからそれを基礎に算定すべきだという見解もあります。

この点、東京地判昭51・8・19は、密入国して不法就労中に事故に遭った韓国人の休業損害について、日本における実収入を基礎に算定しています。

このように外国人の場合には、在留資格や日本での就労の有無によって個別に検討する必要があります。


後遺障害の等級認定を事故直後から徹底サポート
  • メール受付
  • ご相談の流れ